1993年に日本の埼玉県熊谷市周辺で発生した埼玉愛犬家連続殺人事件について、事件の概要やアフリカケンネルの経営実態や被害者の殺害方法や判決、関根元と風間博子のサイコパスな人格と二人の関係性や現在について調べました。
埼玉愛犬家連続殺人事件とは?アフリカケンネルの経営実態や被害者の殺害方法、裁判と判決は?
ペットショップ「アフリカケンネル」の経営実態
埼玉愛犬家連続殺人事件は、男性S(当時53歳)と元妻の女性K(当時37歳)の2人が主犯とされる事件である。彼らは埼玉県熊谷市にある「アフリカケンネル」というペットショップを経営しており、犬猫の販売業に従事していた。店舗は自宅兼犬舎と、別の飼育繁殖場で構成されていたが、巨額の建設費や借金により経営は困難な状況にあった。詐欺的な商売行為や顧客とのトラブルも絶えなかった。
●アフリカケンネルの跡地
殺害方法:「ボディを透明にする」と自称した遺体なき殺人
SとKは顧客トラブルに対する解決策として、獣医師から入手した硝酸ストリキニーネを使って顧客を殺害した。計4人がこの方法で命を落とし、遺体はバラバラにされた後、骨は焼却され、遺棄された。これは関根元自身が「ボディを透明にする」と呼んだ残虐な遺体の処理方法であり、この事件は「遺体なき殺人」と呼ばれた。
逮捕と公判
Sは1994年に別の事件の容疑で逮捕され、埼玉で愛犬家が失踪するとの噂が広まった。マスコミの注目を浴び、事件は表面化した。被害者家族の訴えもあり、被害者の遺骨と遺留品が発見され、SとKは1995年に逮捕された。物証はほとんど残っていなかったが、元従業員Yの証言が事件の立証に活用された。しかし、Yは検察官との間で密約があったことを公判で証言し、一部の証言を拒否した。
裁判と判決
SとKは公判で互いに主犯は相手だと主張したが、裁判所は検察の主張を支持し、元夫婦が共謀して犯行に及んだと判断した。2001年、浦和地裁はSを1件を除いて死刑、Kも死刑とする判決を下した。2005年には東京高裁が一審判決を支持し、SとKの控訴を棄却した。最高裁も2009年に上告を棄却し、死刑が確定した。
加害者夫婦の関根元と風間博子ってどんな人物?馴れ初めや現在は?
関根元と風間博子の馴れ初めや「車の両輪」と呼ばれた関係性
事件の首謀者とされる元夫婦SとKは、共に「アフリカケンネル」というペットショップを運営していた。彼らは1983年に出会い、結婚。Sは7度目(うち3度は復縁)の結婚であり、Kは2度目の結婚だった。Sが財産を狙って結婚したとも言われる一方で、Kはブリーダーとしての才能や金銭管理能力でSに一目置かれていた。
彼らは暴力や愛人の存在はあったものの、ペットショップを共に経営し合い、支え合うパートナーだった。実際の経営はSが主で、Kが代表取締役だったが、一審判決では彼らの関係を「車の両輪」と評している。1993年に離婚したが、実際には生活は変わらず、税務対策のための偽装離婚だった。Sが主犯と見なされることが多いが、一連の事件についてはSとKが共同で行ったと裁判で認定されている。
関根元の人物像:殺人哲学を持ったサイコパス
埼玉愛犬家連続殺人事件の首謀者である男Sは、1942年1月2日に埼玉県秩父市に生まれました。彼は「アフリカケンネル」というペットショップを創業し、ペットや猛獣の取り扱いにおいて天才的な能力を持っていました。彼はシベリアン・ハスキーブームの仕掛け人として知られ、アラスカン・マラミュートの専門家としても一流で、業界内で有名でした。
過去には故郷でペットショップや動物リース業を営んでいましたが、売った犬を盗んで別の顧客に売るなど悪質な商売を行っており、トラやライオンなどの猛獣も扱って近隣住民から嫌われていました。彼は人間心理を読むことに長け、独特なユーモアや話術で多くの人を引き込みましたが、あくどい商法や脅迫、暴力団とのつながりから同業者からは避けられる存在でした。
Sは「殺人哲学」として、社会に害を及ぼす者を殺す、保険金目的では殺さない、欲張りな者を殺す、血を流さないことが重要、死体(ボディ)を透明にすることが大事、という5つのルールを持っていました。特に「ボディを透明にする」という手法が事件で注目を浴びました。
彼は自身の能力や犯罪に自信を持っており、自身が「殺しのオリンピック」で金メダルを取るだろうと豪語し、「殺しのオリンピック」は本物のオリンピックより面白いと語りました。彼は虚言癖があり、自分を異端の経歴を持つ資産家だと装ったり、雑誌やテレビの取材でも虚言を弄ぶなどして宣伝に利用しました。
風間博子の人物像:金銭管理に優れ犬好きな一面も
1957年2月19日に熊谷市で生まれた風間博子は、「アフリカケンネル」の社長として登記されていました。彼女は犬好きで、真面目な生活を送っていたが、後にSと出会い、犬猫販売業に携わるようになりました。彼女は保育士や土地家屋調査士の父の手伝いもしており、結婚して実子を持つものの、前夫とは離婚していました。関根元との結婚後、彼女は刺青を入れ、ブリーダーとしてのスキルを高め、ドッグショーでハンドラーとして活躍しました。
風間博子は金銭管理に優れ、経理を担当しました。Sの税金問題を避けるために偽装離婚し、形式的に社長になりました。店の資金管理には長けており、金銭トラブルに関与しました。特にB・C事件では、殺人現場に立ち会い、遺体の解体にも関与したとされます。
逮捕後、関根元が自供を始めたのに対し、風間博子は黙秘を貫きました。しかし、犬や家族の話題になると感情的になり、涙を見せるなど、複雑な二面性を示し、捜査員を困惑させました。2020年9月27日時点で、Kは死刑囚として東京拘置所に収監されており、現在は66歳です。
関根元と元妻の風間博子の現在
関根元は2009年に上告を棄却され死刑確定後に東京拘置所に収監されていたが、2017年3月27日に病死。
2023年時点で、風間博子は死刑囚として東京拘置所に収監されている
園子温監督により「冷たい熱帯魚」として映画化
●概要
「冷たい熱帯魚」(英題: Cold Fish)は、2010年に公開された日本映画であり、園子温監督・脚本によるホラー作品です。この映画は、1993年に埼玉県で発生した愛犬家連続殺人事件を元にした物語で、設定がドッグブリーダーから熱帯魚屋に変更されています。
なお、関根元がモデルになった村田幸雄役を「でんでん」、風間博子がモデルになった村田愛子役を「黒沢あすか」が演じている。
●ストーリー
死別した前妻の娘と現在の妻の間で折り合いの悪い状況に置かれながら、主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を経営していました。彼は穏やかな小市民的な性格で、家族の争いを避けるような態度を取っていました。しかし、その態度が娘の万引きという非行を引き起こす結果につながりました。
スーパーでの万引きが発覚し、社本は窮地に立たされますが、スーパー店長と親しい関係だった村田の助けにより、万引きは許されます。村田は大型熱帯魚店を経営しており、娘を雇うことを提案し、社本と村田家の交流が始まります。ある日、社本は高級魚の取引を持ちかけられますが、そのビジネスが村田の非道なやり方であることを知ります。同時に、その取引から引き返せなくなるほどの状況に巻き込まれていく運命の展開が始まります。