菅前総理の弔辞をスピーチライターが書いた噂が飛び交っていますが、私は本人が書いたと見ています。
菅前総理の弔辞について気づいたことを。まず、弔辞をスピーチライターが書いたのではないかといった噂が飛び交っていますが、私は本人が書いたと見ています。それはスピーチ冒頭にヒントがあり、ライターが書く場合あのような「7月8日…」からはじまる心情描写を選択しないだろう、と私は考えます。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
私の想像ですので外れている可能性も含めてお読みください。日本のパブリックな挨拶は基本的に岸田総理の弔辞のようなはじまり方をします。(「国葬儀が行われるにあたり…追悼のことばを捧げます。」)これは私たちの国の特性。挨拶や弔辞といえばこのようなはじまり方、という暗黙の型がある。しかし
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
菅前総理は冒頭から心情を描写した。「あなたのお目にかかりたい、同じ空間で、同じ空気を共にしたい。… 最後の一瞬、接することができました。」この特徴ある冒頭は、本人の納得感があってはじめて実現される新鮮な入り出しであり、彼が迷いなく話す様子をみて私は、本人の言葉そのものだと感じた。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
弔辞では感情を吐露されていた。私はこの仕事をするにあたりこれまで菅前首相の話し言葉を分析してきたが、彼の感情が露わになったスピーチを読んだ記憶がない。今回の弔辞は数多の感情で溢れていた。「哀しみと怒りを交互に感じながら…」「私は本当に幸せでした。」青い炎、本心が肉声で語られた。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
特に印象深かった言葉がある。「安倍総理…とお呼びしますが、ご覧になれますか。ここ武道館の周りには花を捧げよう、国葬儀に立ちあおうと、たくさんの人が集まってくれています。」菅氏は目の前の安倍氏に確かに語りかけた。まるで安倍氏が生きているように。この言葉はより一層聴衆の集中を集めた。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
他にも細かい点を上げれば、総理と呼ぶたびに視線を上げていたこと、銀座の焼き鳥屋で総裁選出馬を口説いたこと、1212号室の机上の本。語りたい事ばかりだが、総じて菅前首相の言葉が届いたのは「目の前の(記憶の中で生きている)安倍氏に向かって」話し「思い出を大切に記憶していたこと」ではないか
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
菅前首相の弔辞を見ながら、かつての菅氏のことを日本社会が「伝え下手」だとレッテルを貼った事自体にも言及したい。
言葉に思いを込めることができる菅氏があのような指摘を受けたのは、日本のパブリックスピーキングに蔓延る「正式な場面での文章の型化」に問題があるのではないかとも考えてみたい— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
お決まり事のようにただいまご紹介に預かり、冒頭に来賓へ感謝申し上げる。話し言葉に適さない一文の長さ。はじめて聞く聴衆に配慮しない情報量の多さに、誰か読んでも同じ堅苦しい文章。結果、飽きた空気が会場に蔓延する。こんなスピーチのつくり方を永遠にしていたら真のリーダーは生まれない。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
前首相、現首相の言葉を聞いた私たちは今、自らはどんな言葉を普段発しているのか、自分ごととして考えていく必要がある。そして菅前首相のように「日本に蔓延るスピーチ文書の型化」から抜け出し、あなたにしか話せない言葉や思い、経験を語っていくことの重要性に気づいてほしい。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
ネットの声
なるほどです。
私は「悲しみと怒り…」というところでこの「怒り」という毅然とした思いを言葉にしたことが凄いと思いました。本気だと。— こでまり (@6IFT3VmBW5SsMhS) September 28, 2022
確かに。
少し主旨とズレるかもしれませんが、教育の場でもこのような書式の固定化・強制が多く見られる気がします…
文章の書き方の基本を学ぶためには仕方ないのかもしれませんが、本当に心打たれる文章というのは心のこもった文章であることは確かですよね…
— SiMON@ (@shingh84784194) September 28, 2022
はじめまして
千葉佳織さんが解説し足りてないように感じるのは私だけでしょうか?最重要ポイントだけでも、こんな背景が読み取れるのですね。普段から意義深く、微に入り細を穿つお仕事をなさってるのだろうと想像します。ありがとうございます。感謝します— UMA (@UMAloveYYY) September 28, 2022
胸を打つ弔辞は、必ず自分で書いてると思います。何かの文章を参考にしたかもしれないが、自分で書いたからこそ胸を打つのです。私も父を送る言葉を書きましたが、話していて絵が浮かび涙が溢れてきました。そんなものです。
— micorun105 (@micorun1051) September 28, 2022
とても解りやすい説明ありがとうございます。私も紛れもなく菅元総理の言葉だと思ってましたので自分の考えが間違ってなく嬉しく思います。
— まおしんママ (@maoshinmama) September 28, 2022
比較するのもアレかと思いましたが岸田さんの言葉より気持ちや想いが乗ってましたね
政治家の弔辞であんなにぐっと込み上げるとは思わなかったです
むしろ本人以外の書いた文であれだけ想いが伝わるなら他の答弁でも響いてたと思います— 衣食住 (@ishokujyu_kuwa) September 28, 2022